住宅を購入する際に住宅ローンを利用する人は非常に多いものです。
非常に長期のローンとなることが多いものですが税制上の優遇が有るほか、銀行の担当者などがしっかりと収入の面から返済計画を立ててくれるので比較的安心してローンを組むという人がほとんどです。
しかし、現代の不景気が長く続く経済環境に於いては、収入が激減したり職を失ってしまうなど予期せぬ事態が発生し住宅ローンを支払い続けることが出来ない事態になることもあります。
この場合、銀行は貸したお金を回収するため住宅を没収する事になりますが、住宅にその価値がないと判断することも多く、差し押さえによる競売や任意売却などを行う事もあります。
差し押さえや競売は住宅ローンを借りる際に住宅に抵当権を設定することが多く、その抵当権を銀行が行使し住宅を没収する事から始まります。
但し実際には差し押さえの場合には銀行がその住宅を最適に処分できないことが多い事や住宅ローンの残額に満たない価値にしかならないことも多いため、実際にはあまり行われることは少ないものです。
又、競売の場合には抵当権の設定された住宅を購入するという事から落札額が低く設定されてしまうことが多いため、大きな金額にならないことが多いため、同様に銀行側としては敬遠する方法でもあります。
差し押さえの場合や競売の場合には本人側にお金が残らないことになるため、本人側にとってもメリットがある方法とはならないことが多いのです。
その為、住宅ローンが返済できない場合には最終手段として差し押さえや競売が行われることが有りますが、実際には銀行側は別の方法で住宅を処分し、住宅ローン返済を行うように指定してくることが多いのです。
この銀行側が指定する別の方法が、任意売却というものです。
■任意売却のメリットについて
この方法は住宅を購入した人本人が住宅を不動産業者に依頼して住宅を売却するもので、基本的には一般に住宅を売却する場合と同じ方法となります。
すなわち、不動産業者に住宅を査定してもらい、仲介契約もしくは売買契約を結んで住宅を一般に売却し、この費用で住宅ローンの残額を返済するというものです。
この方法では差し押さえや競売とは異なりいくつかの大きなメリットがあります。
第一に、住宅の売却額が市場の相場に近い価格で売却出来る可能性が高いことです。
差し押さえや競売に一度掛けられた住宅はその価格は市場価格とはかけ離れた低い金額で取引される可能性が高く、住宅ローンの支払いに充てようとしても多額のローンが残ってしまう恐れがあります。
銀行側としてもこれは不本意で、十分な回収ができないことになるため大きな損失となります。
又、銀行によっては差し押さえや競売の場合の売却額が住宅ローンの残額を下回ってしまった場合、本人に対し残額の返済を求め、結果として財産の差し押さえなどを行うケースも有ります。
さらに任意売却の場合には通常の住宅の売却と同様に行うことが可能であるため、引越しの時期や条件等において十分に計画した上で行う事が可能になります。
銀行に対する住宅ローンの返済期限との兼ね合いは有りますが、差し押さえや競売などの法的な措置において売却する場合に比べその自由度は高く、引越し時期や条件等に於いて実状を踏まえた適切な対応ができるので、非常にスムーズになることが多いのです。
また、差し押さえや競売の場合には裁判所が介入することになるので、近隣の人に住宅ローンの焦げ付きや債務超過などの事実が知られてしまう危険が有ります。
■任意売却は引っ越し費用の確保も可能になる
又、競売の場合には不動産業者が近隣の調査に訪れるなどの状態が発生します。
そのため、近隣の人から好奇の目で見られてしまうことが多くなるので注意が必要です。
しかし、任意売却の場合には一般的な引越しと同じように不動産業者が仲介若しくは買取を行う形になる近隣からは単に引越しと取られることが多く、違和感なく引っ越すことが可能になります。
その為、近隣に引っ越した場合にも違和感なく慣れ親しんだ地域に住み続ける事が可能です。
さらに、このほかにもメリットがあります。
ひとつは引越し代等の諸費用が確保できることです。
差し押さえや競売の場合にはその金額全てが没収されてしまうことになりますが、任意売却の場合には住宅が売却できた金額によっては住宅ローンの残債を返済しても余剰金が発生することも多く、その金額によっては引っ越し費用が捻出できることも少なくありません。
その為、差し押さえや競売に比べ十分余裕のある引越しができることになり、差し押さえや競売が行われる場合に比べて精神的に非常に落ち着いた状態で対応できることになります。
差し押さえや競売では裁判所が介入することになるため、法律に則った形で粛々と進められることになるため、本人の経済状態や都合などは一切認められないことになります。
その精神的負担は非常に大きいため、大きなダメージを与えてしまうことも少なくありません。
一方、任意売却の場合は裁判所は介入しないことから本人の意思や都合で計画的に住宅を売却し引っ越すことが出来るという点が大きなメリットです。
最終更新日 2025年7月19日 by errestauro