地球規模の気候変動が世界に与える影響は大きいです。
ですから新しく住宅を建設する時には、長く住み続けるためにその点にも考慮する必要があります。
国連環境計画の最新の報告書によると、2018年の世界の二酸化炭素排出量のうち、建物の建設と運営に使用されるエネルギーが約40%を占めています。
この数字からも住宅の影響が大きいことがわかります。
目次
エスコシステムズさんも注目するゼロエネルギー住宅の導入
具体的な方策の一つとして、ゼロエネルギー住宅の導入が挙げられます。(エスコシステムズ正社員も参考)
ゼロエネルギー住宅はZEHと呼ばれることが増えてきています。
読み方はゼッチであり、まず外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現することが必要です。
くわえて再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅と定義されています。
設計や計画の段階においてまずすることは、家の向きなどの配慮です。
土地によって火の当たり方に違いがありますから、それに応じた設計が必要です。
夏に日差しが強すぎれば冷房の消費電力が増大しますし、冬に日当たりが悪すぎれば暖房費用が増します。
ソーラーパネルを設置する予定があるのならば、南向きの屋根が大きくなるように配慮しなければなりません。
一般的に断熱性能が高いのは鉄筋コンクリート造
断熱性能と聞くと、まず断熱材を想像する人が多いでしょう。
しかし断熱材を選ぶのは、基本的な構造が決定してからです。
現在の日本で普及している住宅の構造は木造と鉄骨造、鉄筋コンクリート造です。
木造は軸組工法とツーバイフォー工法があり、鉄骨は軽量鉄骨と重量鉄骨に区別できます。
一般的に断熱性能が高いのは鉄筋コンクリート造です。
壁や天井、床などの断熱性が高く、さらに断熱材を配することと伝統的な日本家屋とは大きな違いが出ます。
木造でも軸組とツーバイフォーでは、ツーバイフォーのほうが断熱性が高くなる傾向があります。
なぜならツーバイフォーは規格材で構成される壁が構造体となっています。
この時点で隙間が少なく、断熱材を充填することで熱を逃がしにくい構造にしやすいのです。
軸組工法の断熱は充填と外張りの2種類
もっとも数の多い軸組工法の断熱は大きく分けて、充填と外張りの2種類があります。
充填
充填とは柱や梁など構造材の隙間に断熱材を敷き詰めるものです。
施工費用が抑えられ、天候などによる劣化が起こりにくいことです。
デメリットは湿気があるときに性能を発揮しにくいことと、構造材で断熱材が途切れることです。
ここから冷暖房の性能が低下します。
外張り
外張りは構造材の外側を断熱材で包み込むものです。
言ってみれば魔法瓶の中に家があるようなものですから、熱が逃げにくいです。
くわえて壁の内側に自由なスペースが多く、生活空間が増えます。
デメリットは施工費用がかさむことと、経年劣化のリスクです。
断熱の素材
断熱の素材には無機繊維系と木質繊維系、発泡プラスチック系があります。
無機繊維系
無機繊維系とはガラスなどの無機素材を使用したものです。
グラスウールやロックウールがあります。
前者はガラスを繊維化したもの、後者は岩石を繊維化したものです。
建築に適した形状で販売されており、どちらも燃えにくい性質があります。
木質繊維系
木質繊維系はセルロースファイバーやインシュレーションボードなどがあります。
前者は木質繊維を綿のようにしたもので、後者は木材を固めてボードにしたものです。
自然素材のため、ゼロエネルギー住宅のコンセプトに合致しますが、燃えやすい傾向があります。
発泡プラスチック系
発泡プラスチック系はポリスチレンフォームやウレタンフォームなどです。
軽量のため耐荷重の低い軸組工法と合いますが、熱に弱いです。
再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電
再生可能エネルギーの代表格は、太陽光発電です。
ソーラーパネルを屋根などに設置し、それを利用します。
すぐに使わない時には、蓄電池に充電することでエネルギーの多くを太陽光でまかなうことが可能になります。
これまでのソーラーパネルは形状が変えられず、破損しやすかったのですが、それが改善されつつあります。
近い将来には屋根だけでなく壁にも設置できる可能性があります。
屋根への日照が少ない土地であっても、設置できるようになると期待されています。
蓄電池の性能も向上している
蓄電池の性能も向上しています。
電気自動車の普及にともなう、バッテリーの改善が進行中です。
初期費用が高いにも関わらず、劣化がはやかったバッテリーが改善することで、ゼロエネルギー住宅の実現に近づくでしょう。
太陽光以外の再生可能エネルギーとしては、風力と水力が挙げられます。
風力については洋上での実現が進められていますが、一般住宅への設置は合理的ではありません。
特別な立地でなければ実現しないでしょう。
水力も同様であり、川沿いなどでないかぎりタービンを設置してその回転から電力を得る形には実現しなそうです。
まとめ
ゼロエネルギー住宅の条件を満たす新築の戸建てを購入したり、新築住宅を建築したり、持ち家を改修したりすると補助金がもらえます。
最大で105万円という高額ですから、普及が期待できます。
最終更新日 2025年7月19日 by errestauro